【1999年3月2日 緊急打ち合わせに関して】

 

場所:大会議室

時間:13:00~14:00

出席:川和田部長/三塚部長/星野部長/渋谷課長

齋藤委員長/中村副委員長/島田書記長/渡辺委員/井上委員

 

組合執行部に対して会社側より2月26日に行われた大平洋金属金属への報告に関して組合執行部に話したい事が有ると言う事で集まるように話が有りました。

このレポートはその打ち合わせの内容に関するものです。

 

会社側よりの報告

 

1)管理職の給与を2月から(3月10日支給分)カットする

カット率は10〜5%カットする

15人を対象に、合計金額は30万円〜40万円になる

 

 

2)大平洋金属金属へ今後の売り上げ、資金繰り計画を提出した

 

売り上げの予定は PB35t/SUS400t/SUS線58t/活性炭280t/プレス100万個である

それの対しての経費を計算してみた

その上で売り上げが400万円の黒字が出るように計画を立てた

会社を存続させるためにはこの計画を実施するほか無く、売り値、素材の価格は決まっているから、経費、人件費を落すほか無い

新潟113人/東京2人/計115名を100人を切る人員に持って行かなければ成らない

そこで、定年を過ぎた嘱託社員と臨時の社員の方々には3月いっぱいで辞めてもらう

それに伴って、6-7名の配置転換を行う

 

 

上記の内容に関しての執行部からの質問

 

質問1:管理職の給与を105%カットすると言うが、総額はいくらなのか教えてほしい。カットというのは支給額なのか何なんですか?

回答1:それは言えない

 

質問2:嘱託/臨時の社員を辞めさせるさせると言う話だがその人たちが辞めることによっていくらの金額が浮くのか教えてほしい

回答2:それは分らない(福利費等を含めて月額330万円であることを33日に通知されました)

 

質問3:嘱託/臨時の社員の人たちが辞めることによって移動が発生するが、それはどこの誰がどこに移動するのか

回答3:現在現場で検討させている

 

質問4:この危機を乗り切るために必要な措置だと言う話だが、仮に人員を移動させて、その後にステンレスの注文が戻った時はきちんと生産を出来る体制に戻れるのか

回答4:今この危機を乗り切るために精一杯で考えられない

 

質問5:この危機を乗り切るために必要な措置だと言う話だが、首切り以前にやらなければ成らない事が有ると思うがそれはやったのか

回答5:回答無し(川和田)/それを検討するためにこうやって話し合いをしている(三塚)

 

質問6:この話し合いは決定事項を伝えるためのものなのか、もっと良い解決策が有るか話し合うためのものなのか

回答6:3月末の解雇を行うためには今日明日にも通知しなければ成らないので今日明日にも担当者から通知するつもりだ(私には決定事項の通告であると言う意味にしか捉えれませんでした)

 

質問7:3月末の解雇と言う事になると引継ぎはどうなるのか/有給休暇を全部取ったとしたら一週間程度しか時間が無いが/組合は辞める際にはきちんと有給を消化して辞めるようにいっている

回答7:臨時、嘱託は組合員ではないのだから君(齋藤)がそんなことを言う筋合いはないのだから言うな(川和田)(話の内容からして、有給を取らずにぎりぎりまで引継ぎをして辞めて行ってもらうつもりらしい)

 

今回の通告に対しての執行部の意見

 

私は委員長に成った時点からはっきりと「臨時、嘱託、特別社員」といっても同じ職場に働く仲間だから、問題が有ったら雇用形態の区別なく経営に話をして行くと明言してきました。今回の通告は完全に弱いものいじめです。

彼らの言い方を借りれば会社を存続させるためには血を流さなければ成らないそうです。

しかしその前に、まだまだやることは沢山有るはずです。

匂わすようにこの後も人員の削減を行うと言う意味の言葉も聞かれました。

 

10人の雇用を守るためにはどうすれば良いか考えて行きたいと思います。

 

私達は以前から具体的に提案してきました。

 

1)仕入れ金額の支払の圧迫を検討する

これはどこの会社でもやっています。外部との交渉が発生するものですし、相手先の営業戦略に乗っているとなかなか出来ません。

正直言って、忘年会、新年会に祝儀を持ってくるような付き合い、社内担当者を接待しているような会社は止めさせた上で以下のような対応を取る必要が有ります。祝儀や接待は所詮私達の会社から出ている金のはずです。

 

大きな取引先に対して一定のパーセンテージで支払額をカット、景気が良くなったら払うと言う約束を社長レベルで取交わします

私達のボーナスをカットした様に大きな取引先で一連托生の会社には行うのが普通です。

 

2)売り先の価格のアップ交渉を行う

これは、営業戦略に入る部分です。

先だっての組合幹事連絡会でも話が出ましたが、新潟ステンレスでは各顧客に対しての働きかけを行っているそうです。

 

今回サステックからの受注が落ち込んだ件も含めて営業の厚さが有りません。それを早急に是正することを行わなければなりません。

正直言って私の目から見て十分な営業戦略が立てられていると思えません。

具体的な案は社長に提示しています。

 

 

3)一時帰休をもっと有効に行う

これは完全に工場運営の落ち度です。

雇用を守ることがこの制度の目的なのにきちんと理解されていません。

10人の人間を解雇して、結局は鋼板課の人員がその穴埋めのために移動します。それなら、移動させないで人員を集約させて帰休日数を増やせば良いではないですか。

移動したら設備を運営するノウハウは散逸します。一時帰休はそれを防ぐために有ります。

 

一部の部門から一時帰休にたいしての否定的な反応が有りましたが、それは担当部長の説明が足りなかった事と、配慮に欠いた対応が原因なのです。

きちんと話をして、私達組合が以前提案したような「営業-工場」一体化した帰休計画を立てればかなりの日数の帰休が出来ると思います。

 

帰休予定は前月の早い時機に営業を交えて工場の実務レベル(必要ならば班長、それ相当)まで入れて議論する。これは営業情報を深いレベルまで落とし込みするために必要なことです。同時に帰休に対しての参加意識を深めるの物になります。

その上で営業の出来ること(納期の変更願等の顧客へのインターフェースの部分)を行う。

 

4)大平洋金属からの途中入社の社員の給与レベルを工場レベルに下げる

これも、私達が当所より言ってきた内容です

大平洋金属の途中入社の方々と私達新潟金属の人間では大きな開きが有ります。その開きは、そのまま会社を一つにすることの障害になっています。

 

5)部課長の手当てをカットする

申し訳有りませんが、景気が上向きになるまで我慢して下さい

会社の業績がどんなに悪くなってもそれに直接責任のある人間の給与が変わらないのは変です。

 

以上の策を十分に取ってその上でも好転しない場合はどのような策が有るか考えましょう。それも、皆で考えなければなりません。この会社を生き延びさせる本当の答えは現場に有るのです。

 

労使関わらず、一人の退職者も出すことなくこの難局を乗り切りたいと思います。その為にも粘り強く交渉を続けていきたいと思います

 

組合執行部としては解雇の即時撤回と私達の提案の実行を要求します

 

 

この案はあくまで執行部の案です。組合としての回答はしかるべき手順を踏んで出していきたいと思います。

 


以下は齋藤の私見です。組合の執行部の意見と言うわけでは有りませんがどうしてもこれだけは言っておきたいと感じて書かせて頂きます。文責はすべて齋藤に有ります。

 

私は過去に10回以上転職しました。職が無い辛さは人一倍分ります。自分自身の価値が失われたような気持ちになります。とてもつらい物です。

組合の委員長としての大役を皆さんから申し受けて、絶対に一人の退職者を出さないでこの難局を乗り切らなければならないと感じてきました。

ですから、今回の会社側からの一方的な通達はどうしても許すわけにはいきません。

まだまだやることは有るはずです。それをやってみてからでも遅くはないはずです。

 

機会ある度に私はそれを申し入れてきました。

 

なぜ、もっと早い時機に全員でどうすれば良いか話し合わなかったのでしょうか。

何度も私は話し合って下さいと言ってきました。

一生懸命提案もしてきました。

一切彼らはそれを無視してきました。

 

もし、3月末での解雇の通告が有って、確実なものとなったら私はこの経営陣(川和田/三塚)には絶望します。彼らではこの会社は立て直せないと思います。

 

臨時、嘱託の方々が有給を全て取ると言っても何も言えません。現場は引継ぎが無くて確かに困るでしょうが、明日から仕事が無くなる人間はもっと困ります。そして明日は我が身だと考えざるを得ません。

解雇されたら有給の有るうちに新しい職を探さないといけないからです

この様な突然の解雇が通告された側の生活ににどのような影響を与えると考えているのでしょうか。

 

血を流すと言う表現が何度か経営者側から出てきましたが、彼らは他人の血を流させて自分達は生き延びてきたのです。正直って、そんな奴等と顔も合わせたくありません。

大平洋金属の退職金を貰った話を引き合いに出すと彼らは露骨にいやな顔をして、その話を持ち出したら前に進まないと言います。吐き気がします。その退職金は工場から吸い上げた本社費と銀行からの借入金出払われているのです。これから私達が返して行かなければ成らないものなのです。

 

ちなみに、私たちは去年10月から生産ダウンに伴う残業代のカットと言う形で毎月200万円程度の賃金カットを受けてきた。5ヶ月で1000万円の血を流しました。

彼らは今月から一人平均2万円の血を流すと言うのです

 

私は現在、彼らの経営の能力以前に、人間としての品性を疑っています。

人をまとめて、引っ張って行くのが経営者のはずです。彼らにはそれが有りません。

 

残念ながらこれが新潟金属なのです。

 

まだ、少しだけ望みは有るかも知れません

もう少し頑張ってみたいと思います。今転職を考えている皆さん、春闘を一緒に戦いましょう。お願いします。

 

最後に、今回の解雇計画に含まれている皆さん、私の力が足りなくてこの様な事になったことをお詫びいたします。誠に申し訳有りませんでした。

 

 

 

とても残念です。