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2000年9月1日版
【NHK受信料の起原と進化】

このページはNHKの受信料を考える掲示板に投稿した物(2000/9/8前後)を元にしています。 細かいところはあとで手を入れますが、まずは一ケ所にまとめてしまいます。いくつかの点を修正しました。今の僕の考え方に近い物はここに書かれた物です。
【NHKの良い所について】

わたしは不払い者ですが、NHKの良い所は、競争原理の元では生まれない様な番組を作る事が可能なところが素晴らしいのだろうなと思います。
少数(マイノリテイ)に焦点を当てる事ができると思います。
民放では視聴率と言う尺度が広告効果を計るのでなかなかそうはいかないのでしょうね。

スポンサーが国民なのですから、企業や行政の腐敗を批判できるのだろうなと思います。

逆に、民放の芽を摘む様な事は問題があると思います。
なにせ、民放とは予算の掛け方が違うので勝負にならないと思います。

大河ドラマとかはどのくらいの予算で作られているのでしょうか、それをペイするだけの広告宣伝費は集められるのでしょうか?
そもそも、NHKと民放は勝負にならないのだろうなあと思います。


今、NHKは他の民間衛星放送会社にとって大きな競争相手になっていると思います。

この事は、あまりいい事ではないでしょうね。
民間の企業努力を挫いています。

BS2は明らかに問題でしょう。
スクランブル放送しないと、wowowが可哀想だと思います。



【NHKと民放では、営業努力といっても比較できない】

受信料を得る為の営業努力と民間企業の営業努力は決して比較で気ないと思います。
民間企業の場合は売れるか売れないかと言う市場原則が判定します。

NHKの場合には、私たちが選挙を通じて『選んだ議員から集まって運営する行政』がその判断をします。トップは総理大臣が選びます。
この辺りが視聴者とNHKの接点ですが、細かい実質的な事例に対しての意見の反映が有るかどうかという点は疑問です。
市場原理は売れない物は作られないと言うデメリットが発生しますが、スカパーのように番組毎に金額が変わればいいと思います。



【受信料の法的な性格について/どんな理由でも納得でいない事にNOと言うのは良い事だ】

法解釈の件に関しては、『一連の受信料を集める事を目的としている法』は国民全員から定額の金を集め様としているのですから、払わないのは、違法か法の編み目をくぐっている卑怯ものと言えます。僕は違法の方に入っている一人です。

払わない理由が崇高かそうで無いかは関係ないと思います。
『金がもったいないからとか、貧乏だから』と言う理由も、『民主主義を否定する事になるから』という理由も差はないと思います。

一人の人間が納得できないから払わないと言う事で良いと思います。
それは、納得できるから払うと言う人と同じように良い事だと思います。


僕が嫌いなのは、納得できないけど、世間ていがあるから払うとか、法律で決まっているからとか、何となく払っているという人たちです。


【受信料の法的な性格について/『特別な目的の為の負担金説』と『受信に対しての対価説』】

1)『特別な目的に対しての負担金説』は一番説得力があると思います。
しかしながら、その説の最大の問題点は、『その目的は誰が決めるのか』『目的を認めない人間は払わなくて良いのか』と言う事をどう考えるかです。

その考え方は、延長すると視聴料を一種の組合費のように捉える考え方になると思います。
NHKの全ての資産は視聴料を払って来た人間の物になるという考え方です。
つまり組合員全員の総意でなければ、経営に関しての決定はできないと言う考え方です。

2)『受信の対価として考える説』とそのような見方は出て来ません。
例えばwowowにお金をいくら払っても、wowowの放送設備に対しての所有権(もっと良い言葉があるのですが今思いだせませんので.....)はうまれません。
wowowが資産を売り払って、社長がお金を入手しようが、不当に高い給料であろうとかまわないのです。
受信料は『設備=資産を運用して生み出される付加価値に対しての代価だ』からです。

強制的に金を集めるならば『特別な目的に対しての負担金説』によらなければならないと思います。
しかし、決してそうはならないと思います。
強制的に全員からお金取るなら(特殊な負担金説を取るなら)、その使い道を決める手段は出資者になければいけないと思います。

受信に対しての対価ならば契約に任意性と競争の原理が必要だと思います。

【なぜ、税金の不払いはしないのか/国家は唯一の公認された暴力組織】

『気に入らないから不払いをするならば、税金の不払いをしているのか』という問いかけも良く聞かれるので一言。
税金の不払いには差し押え等の強制的な手段や罰則があるので払っています。

なぜ、自分に気に入らない政策を取る政府に金を払うのかと言うと『公認された暴力装置』を国家は持つからです。

放送法も『公認された暴力装置』をもっているなら僕も払うと思います。

『国家=税金を集金して使う組織』には、選挙制度があるからみな払うのです。(効果についてはかなり疑問です。その事はまた別なwebで......)

納得のいかない物(NHK)に一方的に金を取られて、制度的な保証のない世界は封建社会と呼ばれます。
そんな世界は嫌です。


民主主義というのは、自分の出した金の使い道は自分できめる手段が制度的に保証されている事。
すべての行為はオープンにされてること。
そして、議論される事。


『民主主義と言う物は最悪の政治制度だが、それ以上の制度はない』と言う格言には民主主義の限界と可能性がとても良くあらわされています。

【市場経済の常識】

僕が放送局を始めるとしたら、最初に個人の責任とリスクの元で株を発行するなり、借りるなりして資本金を集めます。
そして、資材を買って、スタッフに人件費を払って、いい番組を作り、受信料を集めます。
そこで集まった受信料は仕入れと資本金の返済を行い、利益が出たら株主に還元します。少なくとも銀行利子以上の還元を行わないと株は集まりません。


受信料が高いと思ったら買ってくれる人がいないから利益がでないし、安いと原価割れします。
競争もありますから、様々な創意工夫がうまれますし、受信者への対応もお客さまとしての対応になります。

スカパーがwowowからヨーロッパのサッカーリーグの放映権を奪った事があります。(昨年だったかなあ)その時、僕の友人は解約したのですが、2ヶ月くらいのタイムラグがあったのだけどその分の金も返金されました。
確か5月位に決まって、7月位に手続きをしたら放送ができない事が分かった時点からの受信料が帰って来たと思います。
僕はこういう対応は正しいと思うし、この会社を高く評価する一つの要因でもあります。

NHKの会長が自分のリスクで資金を集めて、運営を始めたのなら、受信料という考え方に馴染むと思います。



NHKは最初は小さい規模で生まれ、TVの台数の増大と共に資金力は大きくなって来たのです。
じつはその時に、規模を縮小化する道もあったと思います。
しかし、そうはしなかったのです。


そして、その資金力で様々な事業をお動いて、だんだん集まる金が大きくなったので、使わないと返せと言われるから無理矢理使っているような気がします。
本来NHKが受信料の支払い者から依託されている業務とは何なんでしょうか?
それは白紙委任なのでしょうか?



本来ならば、出版事業やその他の収益事業での利益が出たら、それは受信料を払っている人に還元されてしかるべきでしょう。



税金とよく似ていますよね。




【特別な負担金説に付いての補足/組合とはどのような性格の物なのか】

労働組合等の事例を考えると、労働組合の定義は何らかの目的(福祉増進等)を実現する目的を持った集団です。そして資産を持ち、契約の主体となります。


構成員が組合費を払っている間は活動を通じて利益を得ますし、組合活動に対しての発言権と選挙権を持ちます。
止める時は負担金を払わなくなる代わりに発言権も選挙権もなくなります。
組合を辞める時には何十年払ったとしても、何もかえしません。

ある程度高い買い物をする時は、執行部が組合員全員に分かるように説明をして、代議員会の議決をもって行います。

何らかの利益が出たり、状況が変わったりしたら組合費は下がります。
特別な行事を行う時はその為の負担金をつのります。

去年会社が倒産(親会社都合で潰されたのですが....)した時に、組合費の貯えが2000万円有りました。
組合費として15年集めて来た金です。
その時の組合員(80名)に全て分配しました。組合費を払い込んで来た年数に金額を掛けた物と固定の金額を足したものです。

NHKが『特殊な負担金説/ある種、株や組合費のような性格つけを行う』を取れないとするとそれは大きな金額の出費に付いて事前に出資者の合意を取れないからでしょう。

それに比して、先に例に出した私企業が市場経済の元で行う活動の場合は何をしてもかまいません。事前に視聴者からの承諾などいりません。(株主に対しては必要ですが....)
受信料を払っている人を株主のように扱う方法も有ると思います。

完全に株と考えると多く買う事によってメディアに影響力を持とうとする人間や企業が得ようとするので好ましくないでしょう。

商品に値段に跳ね返って、それが売れなくなって、自分の首を絞める事になるからです。

【今後の課題】

なぜ受信料と呼ばれているのかとか、当初のスタートの時の最初の資金はどう言う経緯で動いたのかとか、色々と史実としての調査、分析が必要な問題はもう少し時間がかかります。

NHKには長い歴史が有ります。
当初の考え方と現在の考え方を一概には比較できません。
TVの数も、国民の経済的なゆとり(高度経済成長時代と今を比較すれば分かります)も変わって来ています。

この問題に関してはもっと、調査と研究が必要だと考えています。

【むかしむかし.......】

僕が小さいころ、新潟には民放が一つしか有りませんでした。

当然、テレビの台数も少なくて、テレビを持っているのはお金持ちだけでした。

そんな時代にNHKは育った事を時々思い出さなければいけないと思います。

そして、TV放送がナショナルやソニーと言ったTVメーカーを育てたのです。

そんな時代には、受信料と言う名前の『ある種目的税』的なお金のあつめ方も合理性と説得力が有ると思います。
テレビを持っている家庭がわずかしかなくて、NHKが有る事で利益を得ていた人達が少なかった時代、今では想像もできません。

今、新しく放送局を始めるとして、代々木にあんな大きな土地買って、はじめられますか?
昔、土地が安い時代に買っておいて良かった......その土地や、資産は誰が払った金で買ったのか、誰が処分に決定権を持つのでしょうか?

衛星のペイテレビがこれだけ企業として成立するとは考えられなかったでしょう。 CATYやインターネットがこれだけ まだまだ考えなければいけない事は沢山有ります。









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