INDEX/
前/
網野善彦先生
網野善彦先生
『日本の歴史』についてのページ
網野先生が編集委員をしている『日本の歴史』26巻が2000年10月講談社から刊行された。
以前、『日本海』という名称で日本列島と、ロシア、北朝鮮、韓国の国々が接している内海を呼んで良い物だろうかと思った事があった。
詳しい事は別に書くが、その時網野先生の『日本社会の歴史(上中下)1997年/岩波新書』の中での記述を読んでなんか安心した。
少し引用する。
『日本社会の歴史(上巻) p7』
海に「日本」という国名を付したこの名称は、決して適切ではなく、将来、再検討される必要が有ると考えるが、当面、便宜上この名称を用いる。
『日本社会の歴史(下巻) p163』
さらにまた、日本列島の社会が決して斉一でも均一でもない事を明確に確認した上で、単に列島東部と列島西部と言う言うだけでない列島社会の地域の区分のあり方、そのそれぞれの個性を明らかにして地域の今後の生きる独自な道を探るとともに、列島外の諸地域とのかかわりを追求し、「国家」「民族」の枠を超え、例えば玄界灘・東シナ海を基盤とし、日本列島、朝鮮半島、中国大陸に及ぶ「倭冦地域」、あるいは、現在は当面
「日本海」と呼ばれている内海(朝鮮半島からは「東海」。その適切な呼称を模索する事は今後の課題)
を取り巻く環内海地域のような広域的な地域の実体を解明する事によって、当面、アジアの中での日本列島、さらには地球上の人類社会の中での列島社会の位置付づけを正確に把握しようとする試みも、精力的にすすめられている。
これらの試みが真に結実するまでにはなお多少の時間を必要とするであろう事は十分に予想しておかなければならないが、その中から、従来の「日本史」像をはるかに超えた豊かな日本列島の社会史像が描き出される事は疑いないと言ってよい。
この意味で、確かに現代の現実それ自身これまでの歴史の書き換えを要求している事は間違えないが、それは直面している転換そのものの性格にふさわしく根底的・徹底的な物でなければならない。
そしてそこに豊かな事実に基づいて新たに描き出された歴史像は、自然と賢明につきあいつつ平和と自由と、貧困の解決をめざして進む人類社会の今後の歩みの中で日本人の果たすべき役割を正確にさし示す物となろう。その日がくるのが一日も早い事を心から期待したいと思う。
僕は年号の暗記ばかりを要求する『歴史』とはどうもそりがあわなくて、40年近くの人生を送ってきた。
その人生の中で、もっと早く網野先生の本と出会えれば良かった。
下巻の最後のセンテンスだが、何度読み返しただろうか。なんともセンチメンタルで素敵な文章ではないか。
僕らはどこから来て、どこへ行くのか。
あらゆる科学はその問いかけに真摯に答えなければならない。
その問いかけに答えようとする網野先生の真摯な姿には心うたれる物がある。
これから、日本はどんどん力を失って行く。そしてアジアの諸国は大きくなって行くのだ。そんな時代に僕らはどう歴史を捉えて行けば良いか彼は正しい道筋を見い出してくれる。
講談社から刊行される『日本の歴史』26巻(2000年10月下旬『00巻「日本とは何か」網野善彦』刊行)はとても楽しみである。
真正面から『天皇』を論じてくれると思う。
時の総理大臣が憲法を無視するような発言を行っても何ごともなかったように許される。
こういう時代だからこそ、歴史家は発言しなければいけない。
日本の政権政党の政治屋と軍需産業(ほとんどすべての大手企業はこれに入る)は、軍備に金を注ぎ込みたくてしょうがないのだ。
不況の時代において、軍事費は楽な売り上げである。利幅は大きいし競争は少ない。
しかし、税金の使い道と考えるとこれほど馬鹿げた物はない。
自分達の生活を良くしてほしいと思い納めた税金が、大企業や官僚エリートの眷属達の利益のために使われるのだ
そして、命さえも奪われる。
大企業や官僚エリートの眷属達は徴兵を免れ、命の危険ない所にいる。ふつうの庶民は作られた危機に際して戦場で命を消耗させられるのだ。
命を消耗させるための大義名分が『国』であり『国家』なのだ。
そしてそのバックボーンには、なんらかの象徴が必要になる。
(作られた危機=この間の南北朝鮮の会談以前のテポドン騒ぎに代表される北朝鮮バッシングを見れば良い。あの頃の論調を僕は忘れない。軍拡主義者達はこれ幸いと大声で叫んでいたではないか。それが北朝鮮へ企業進出が始まろうとすると何も聞こえなくなった。呆れ果ててしまう。そして、今アメリカはとても醜い工作を行っている。韓国からアメリカは手を引き、次は日本を見捨てるだろうなあ。きっと日本はアジアの裏切り者としてこれからの50年を過ごさなければならない。大体アメリカのバブルのツケが日本に来たんだろう。海外不動産を馬鹿げた金額で買って、おかげでアメリカは大黒字ではないか。おまけに税金注ぎ込んで銀行をアメリカに差し上げている始末だ!!どうして自民党が選挙で過半数になれるのだ。)
そして、そう行った流れを作るために憲法改正は行われようとしている。
そう言う風潮にのって馬鹿げた厚い本を出している連中には何を言っても無駄である。
歴史を改ざんしようとしている奴らが黙る事はないだろう(とにかく金が集まっている)。
本当の歴史家がこう言ったシリーズを出してくれるのは嬉しい物だ。
日本は孤立した島国である。
一つの民族から成り立っている。
農耕が主体の国であった。
そして、今も生きている天皇の神話。
そんな常識がいつ作られて、何のために信じられたか解明してくれる。
もっと、もっと網野先生の本を買おう!!
1928年山梨県に生まれる
東京大学文学部卒業/日本常民文化研究所研究員/都立北園高校教諭/名古屋大学文学部助教授/神奈川大学短期大学部教授/同大学経済学部特任教授をへて1998年3月退職
ページ先頭に戻る
文句の有る奴は相手になってやる、いつでも来い